陸のあひる -日野イズムのブログ-

時には頷き、時には首を横に振る、日野イズムのブログです。

またたびさんの事件ログ専門用語集その1(注:ネタバレ有り)

というわけで、情報系女子またたびさんの事件ログ 暴走ロボットアームとひきこもり少女の相関の発売が明後日と迫ってきました。やはり、いつもこの発売直前がとてもそわそわしますね。ちゃんと受け入れてもらえるのかなぁとか。まぁ、今更心配してももう手遅れなんですが。

ともあれ。

さて、情報系女子またたびさんの事件ログと言えば、専門用語のオンパレードで知られておりますが、ちゃんと説明している用語もあれば、中にはさらっと触れながら全然説明していない用語もあります。読者の中にはそれをちゃんと後で調べてくださる方もいらっしゃるのようです、(すごい!)。

 

ブログでまたたびさんのネタバレの話をするのは大分控えていたのですが、半年も経ったことですし、そろそろ解禁ということで、またたびさん用語集作ってみました。ちなみにその1なのでまだ途中です。というのも適当にまたたびさん1をぱらぱら読みながら作ったので穴だらけで……この用語ってどういう意味とか、この仕組みはどうなっているの、といった話ありましたらそれを元に追加していきますので、聞いてくださるととても助かります。

そんなわけで用語集その1です。

以下ネタバレ有りなので、情報系女子またたびさんの事件ログ未読の方は読むのを控えて頂いた方がいいかと思います。

では始まり始まり。

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滋賀県のR大

 某びわこの辺にある大学がモデル。もちろんモデルはあれど、R大自体はもちろん架空の大学である。
 実在の大学をモデルにするメリットはいくつかあるのだけれど、個人的に一番大きいのは建物の配置をわざわざ設計しなくていいこと。これを一から作るのはとてつもなくしんどい。そんなわけでR大のキャンパスマップ自体は(私の記憶の中の)某大学に基づいている。
 ちなみにあとで確認したら、物語におけるR大と実際の某大学のキャンパスマップといくつか齟齬があることに気がついたのだけれど、別にモデルに忠実である必要はないので、気にしないことにした。(物語の描写と、私が意図した建物の配置は校正さんに確認してもらっていたので、おそらく齟齬はないはず)
 学園祭の時期やライブステージの位置などはそもそも最初からわざとモデルを無視している。これは物語の構成上の都合。各校舎の名前は元々横文字表記だったものを適当に日本語化したもの。名前の厳密性は重視していない上に思いつきでつけたものが多かったけれど、結構どれがどの校舎をモデルにしているのか、分かった人が多かったみたい。
 読者さんの推理力が、書き手側の想定を大きく上回っている……。


○情報理工学部

 これも某大学に実在する学部のこと。情報寄りの理工学部
 ぶっちゃけると理工学部との境界はあってないようなもので、情報理工学部にあるいくつかの研究室が理工学部にあったとしても全然おかしくない。
 卒業して取得する学位は、大半の人が学士(工学)になる。


○コンピュータビジョン

別名ロボットビジョンとも呼ぶ。厳密に説明するのは難しいのだけれど、簡単に言うと、ロボットの眼をつくる分野の研究。
顔画像認識や、自動車のカメラをつかった衝突防止システムなどは全部コンピュータビジョンの研究成果と言っていい。コンピュータグラフィックスとは名前が似ているけど、研究分野としてはやや遠い。

 

○画像情報研究室

 R大情報理工学部の研究室のひとつ。コンピュータビジョンの研究を主とし、応用としてロボットも取り扱っている。
 私が実際に所属していたいくつかの研究室のイメージを混ぜた感じ。

 

○またたびさん

 博士課程D1木天蓼麻美さんのあだ名。
 こういう研究室生活を送っている人、どの研究室にも一人くらいいるのではないだろうか。その人が優秀かどうかはおいておいて。

 実際R大のモデルである某大学には博士課程の人はそこまで居ない。
 いくつもの研究室に当てはまることなのかよくわからないのだけれど、少なくとも私がN大に居たときの研究室にはずば抜けて頭の切れる博士課程の人が居て、よくばっさりやられることがあった。あのときはどうやって皮一枚残すか必死だった気がする。

 

○着る毛布
またたびさんの愛用品。
ちなみに個人的なイメージではヌックミィをイメージしてる。
あれはすばらしい商品。
着る毛布が黒いのは、研究者とくればとりあえず白衣を着せる風潮に異議を唱えている、のかもしれない。


○研究室ミーティング
 完全に同じような形式ではなくても、少なくとも工学寄りの研究室では似たようなミーティングが行われていたはずだと思われる。
 私が大学時代に居た研究室は研究テーマを自分で考えるタイプの研究室だった。やはりほとんど素人ともいえる学部生で研究テーマを自分で一から考えるというのは苦行だったけれど、振り返ってみるとやはりこの一年間が自分の中でとても大きかったと思う。少なくとも小説のネタにはなっているわけだし。
 長谷川の研究内容はいかにも学部生が提案しそうな研究案を考えてみたのだけれどどうだろうか。ちなみに私の中で長谷川くんは大分優秀な部類の学部生にあたる。逆に言えば、優秀な学生も研究室ミーティングではぼこぼこにやられるものである。


○情報系女子
 物語の終盤になってぽろっと出てくる用語。タイトルにもついていて、類義語に理系女子がある。
 私個人としては○○系~というのは、あまり好きな表現ではない。どちらかといえば嫌いだ。理系女子にしろ、草食系男子にしろ。強引なカテゴライズはしばしやっかいで面倒な偏見を生みやすいからだ。これで嫌な思いをした人もきっと少なくないだろう。
 ちなみにまたたびさん解釈ではこういった偏見的カテゴライズは人が無意識に行っていることで、脳の少ないキャパで現実世界を生きるためには致し方ないことらしい。(だから、またたびさん自身には必要ないらしい)
 またたびさんの方が、少なくとも私よりは考え方が大人だ……。
 

○SLAM
 Simultaneous Localization and Mappingのこと。
 直訳すると位置推定と地図生成を同時にしますよ、という意味。移動ロボットの研究では大変ポピュラーで、これを知らない移動ロボットの研究者が居たらまずモグリで間違いないだろうとまで断言できる。特に環境が変化するような実環境で移動ロボットが自律移動するには必要不可欠の技術。
 本編中でりっちゃんには単眼カメラしか搭載されていないとの記述があるので、カメラでSLAMをするVisual SLAMと呼ばれるものが搭載されていると想定される。
 私自身、SLAMを研究していたので、この研究にはとても思い入れがあって、またたびさんの事件ログで最後の切り札的活躍をこのSLAMが果たしたのはそういう経緯がある。さくらくんのスマホや、りっちゃんの食事運搬はすべてこれの伏線になっていたわけなのだけれど、何人の人が気づけたのだろうか、個人的には気になるところ。